犯してしまった罪をつぐない、社会の一員として立ち直ろうとするには、
本人の強い意志や行政機関の働き掛けのみならず、
地域社会の理解と協力が不可欠です。
保護司を始めとする更生保護ボランティアと呼ばれる人たちの他、
更生保護への理解と協力の下、関係機関・団体との幅広い連携によって
更生保護は推進されています。
更生保護は、犯罪をした者や非行のある少年を社会内で適切に処遇することにより、その再犯を防ぎ、非行をなくし、これらの者が改善更生することを助けることによって、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進することを目的としています。
我が国の刑事司法制度において、警察、検察、裁判、矯正と並び、その最終段階を担うものであり、更生保護における処遇は、実社会の中で通常の社会生活を営ませながら行われることから、矯正における施設内処遇との対比で、『社会内処遇』と呼ばれています。
(’09 更生保護便覧より)
保護観察は、犯罪をした人又は非行のある少年が、実社会の中でその健全な一員として更生するように、国の責任において指導監督及び補導援護を行うもので、保護観察処分少年、少年院仮退院者、仮釈放者(矯正施設に収容されている人を収容期間満了前に仮に釈放して更生の機会を与え、円滑な社会復帰を図ることを目的とした制度として、刑事施設等からの仮釈放、少年院からの仮退院等があり、仮釈放などの期間中は保護観察に付されます。 )、保護観察付執行猶予者及び婦人補導院仮退院者の計5種の人がその対象となります。
生活環境の調整は、刑事施設や少年院などの矯正施設にいる人の釈放後の住居や就業先などの帰住環境を調査し、改善更生と社会復帰にふさわしい生活環境を整えることによって、仮釈放等の審理の資料等にするとともに円滑な社会復帰を目指すものです。
これら保護観察や生活環境の調整あるいは犯罪予防等の更生保護諸活動を業務とするのが法務省の出先機関である保護観察所です。更生保護の諸活動は、国の機関だけでは十分な効果を挙げることが困難であり、保護司などの更生保護ボランティアと呼ばれる様々な方々が、それぞれの特性をいかし更生保護諸活動に積極的に参加されています。
神戸保護観察所には、54人の保護観察官等が配置されています。
所在地:〒650-0016 神戸市中央区橘通1丁目4番1号 神戸法務総合庁舎2階
電話:企画調整課(庶務・会計)…078-351-4005 (更生保護振興班)…078-351-4016
処遇部門(事件)…078-351-4004 処遇部門(保護施設)078-351-4015
社会復帰調整官室…078-351-4008
(すべて9:00〜17:00)
FAX:078-366-2227(共通)
所在地:〒670-0947 姫路市北条1丁目250番地 姫路法務総合庁舎別館
電話:079-282-2267(9:00〜17:00) Fax:079-282-2267
所在地:〒660-0892 尼崎市東難波町4丁目18番36号 尼崎地方合同庁舎
電話:06-6481-4503(9:00〜17:00) Fax:06-6481-4863
兵庫県内の34保護区ごとに組織された保護司会の連合体として組織されているのが、兵庫県保護司会連合会です。
兵庫県保護司会連合会は、近畿地方保護司連盟、さらに更生保護法人全国保護司連盟に所属しています。
所在地:〒650-0016 神戸市中央区橘通1丁目4番1号 神戸法務総合庁舎2階 兵庫県保護司会連合会
電話:078-351-4016(9:00〜17:00) FAX:078-366-2227
更生保護法人は、更生保護事業法に基づき、法務大臣の認可を受けて更生保護事業を営む民間団体です。
更生保護法人兵庫県更生保護協会は、罪を犯した者の更生を助けることを目的とする事業に対する助成や連絡調整、これらの事業の啓発等を行っています。
助成事業は、民間篤志家などからの寄付などを得て助成資金とし、保護司会・更生保護施設・更生保護女性会・BBS会などの更生保護の団体に助成することにより、犯罪防止活動に協力する事業です。
所在地:〒650-0016 神戸市中央区橘通1丁目4番1号 神戸法務総合庁舎2階 更生保護法人兵庫県更生保護協会
電話:078-341-3984(9:00〜17:00) FAX:078-366-2227
兵庫県更生保護施設連盟は、更生保護施設を運営して、被保護者に対する宿泊所の提供、帰住のあっ旋、金品の給貸与、生活の相談等を行うなどして立ち直り支援(処遇)を行う更生保護法人を会員とする任意団体です。
兵庫県には、更生保護施設を設置運営する更生保護法人が3法人あり、それぞれが運営する更生保護施設(神戸市に1、姫路市に2)が更生保護活動を行っています。
< 更生保護施設 >
更生保護施設は、2017年1月現在、全国に103施設があり、全て民間の非営利団体によって運営されており、うち100施設は法務大臣の認可を受けて更生保護事業を営む更生保護法人によって運営されています。その他3施設は、社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人によって運営されています。
更生保護施設においては、その実情等に応じて、対人関係を円滑にするための「SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)」、飲酒や覚せい剤使用の問題を改善する教育プログラムなどを行い、処遇の充実に取り組んでいます。また、地域の住民の方々との交流も大切にしています。
更生保護女性会は、地域社会の犯罪・非行の未然防止のための啓発活動を行うとともに、青少年の健全な育成を助け、犯罪をした人や非行のある少年の改善更生に協力することを目的とするボランティア団体です。全国で約17万人の会員が、地域の公民館、学校等に地域住民の参集を求めて、その地域の実情に即した非行問題等を話し合うミニ集会のほか、親子ふれあい行事や子育て支援の活動などに取り組んでいます。
兵庫県では38の地区更生保護女性会があり、約5,000人の会員が活動しています。
会の趣旨に賛同する女性であれば、どなたでも参加できます。
< 更生保護女性会綱領 >
一、私たちは 一人ひとりが人として尊重され、社会の一員として連帯し、心豊かに生きられる明るい社会をめざします
一、私たちは 更生保護の心を広め、次代を担う青少年の健全な育成に努めるとともに、関係団体と提携しつつ、
過ちに陥った人たちの更生のための支えとなります
一、私たちは 知識を求め自己研鑽に励むとともに、あたたかな人間愛を持って明るい社会づくりのために行動します
所在地:〒650-0016 神戸市中央区橘通1丁目4番1号 神戸法務総合庁舎2階 兵庫県更生保護女性連盟
電話:078-351-2250(9:00〜17:00) FAX:078-351-2250
BBS(Big Brothers and Sisters Movementの略)運動は、様々な問題を抱える少年と、兄や姉のような身近な存在として接しながら、少年が自分自身で問題を解決したり、健全に成長していくのを支援するとともに、犯罪や非行のない地域社会の実現を目指す青年ボランティア団体で、全国で約4,500人の会員が参加しています。
近年では、児童福祉施設における学習支援活動や児童館における子どもとのふれあい行事等も実施しています。
兵庫県では7つの地区BBS会があり、約60人の会員が活動しています。
BBS運動の趣旨に賛同し、誠意と熱意のある方ならどなたでも参加できます。
協力雇用主(事業者)の拡充や活動を支援する等の目的を掲げてNPO法人の認証をうけているのが、兵庫県就労支援事業者機構です。
< 協力雇用主 >
協力雇用主は、犯罪・非行の前歴のために定職に就くことが容易でない刑務所出所者等を、その事情を理解した上で雇用し、改善更生に協力する民間の事業主です。
現在、全国で約14,000の協力雇用主が更生保護事業に協力しています。
犯罪や非行をした人の就労支援を一層推進していくためにも、保護観察所では協力雇用主を募集しています。
所在地:〒650-0016 神戸市中央区二宮町4丁目7-6 NSビル3階
電話:078-855-6252(9:00〜17:00)
保護司は、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティアです。保護司法に基づき、法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員とされていますが、給与は支給されず、職務に要した費用の全部又は一部が実費弁償金として支給されます。
保護司は、民間人としての柔軟性と地域の実情に通じているという特性をいかし、保護観察官と協働して保護観察に当たるほか、犯罪や非行をした人が刑事施設や少年院から社会復帰を果たしたとき、スムーズに社会生活を営めるよう、釈放後の住居や就業先などの帰住環境の調整や相談を行っています。
このような全国約4万8000人の保護司が、それぞれに配属された保護区において保護司会に加入し、研修、犯罪予防活動、関係機関との連絡調整、広報活動などの組織的な活動を行っています。
保護司法第1条は、保護司の使命を「社会奉仕の精神をもって、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるとともに、犯罪の予防のための世論の啓発に努め、もって地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与すること」と定め、また、更生保護法第32条は、「保護司は、保護観察官で十分でないところを補い」、「地方委員会又は保護観察所の所掌事務に従事する」と定めています。
すなわち、保護司は、保護観察官に協力して、その民間性、地域性の特性をいかしながら、主として、@保護観察対象者の指導監督、補導援護 A矯正施設に収容されている者及び少年院在院者等の生活環境の調整 B犯罪予防活動 等の職務に従事するものとされています。
犯罪予防活動とは、犯罪や非行の予防のために、国民の理解促進や犯罪の原因となる社会環境の改善等に努める活動のことをいいます。
更生保護における犯罪予防活動の特色は、犯罪の発生を未然に防ぐため、地域社会に対しての社会的連帯感や社会的規範に対する共感を強めるように働き掛け、安全で安心な地域社会の構築を目指す点にあります。また、犯罪をした人や非行のある少年の立ち直りについての地域社会の人々の理解や関心を深め、彼らを地域の一員として受け入れ、またその立ち直りを見守り援助することにより、彼らが再び犯罪や非行に陥らないような環境作りを目指しています。
更生保護における犯罪予防活動は、それぞれの地域において、保護司を始めとする更生保護ボランティアを中心に、地方自治体や地域の関係機関等と連携して進められています。具体的には、講演会、シンポジウム、非行防止教室、非行相談、街頭補導活動などを通じ、地域住民に対し、犯罪や非行のない社会づくりを呼び掛けるとともに、犯罪をした人や非行のある少年の立ち直りに協力してもらえるよう働き掛けています。
法務省が主唱する“社会を明るくする運動”〜犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ〜もこうした犯罪予防活動の一つで、中央推進委員会・府県推進委員会・地区推進委員会が組織されます。
兵庫県では、兵庫県知事を委員長とする兵庫県推進委員会が約160の機関・団体の参画を得て毎回組織されます。
更生ペンギンのホゴちゃんです。
「更生保護」についてより詳しく知りたい方は、法務省保護局のホームページを見てね!